水色の朱鷺 第一章 ウワサ「しってるー?1組の佐津木伊里亜が廃墟で殺されてたんだってぇ。」クラスは、そんなウワサで持ちきりだった。 「犯人はね、水色の朱雀のメンバーらしいよ。ね!梓!」 「えっ・・あ。うん」 まさか自分が伊里亜を殺した、水色の朱雀のメンバーだよ、というわけにも行かず、あいまいな返事をし、机に座る。 「どーしたの?あーちゃん」 悠里が机の前にしゃがみこみ、目から上だけを出して梓を見つめる。 「まさか、伊里亜のこと?」 悠里が声をひそめて聞いた。 「うん・・・」 梓はぐったりと机に突っ伏し、ないていた。 「いつもの事じゃないの。そんな事で落ち込んでたら、朱雀を続けていけないよ・・・」 悠里は梓を見つめて言うが、梓は泣き止まなかった。 「ひっく・・・ぇっ。伊里亜・・・伊里亜・・・」 梓の大きな瞳から、大粒の涙が次から次へと零れ落ちる。 クラスのみんなは、伊里亜ガ死んだ事でないているんだろう、と特に疑いもしなかったが、悠里は心配だった。 自分たちが朱雀のメンバーだとばれはしないかと。 ばれたらどうなるかを、恐れていたのだ。 みずいろのTシャツと、ジーパンをびしょびしょにぬらし、それでも梓はないていた。 悠里はため息をつき、梓のほうを向く。 梓の唇が開き、言葉が漏れる。 「悠里・・・なんで、何でこんなに悲しいの?私。」 梓はつぶやくと、また泣き始める。 悠里は、呆れたように首を振ると、自分の席に着き、先生が来るのを待った。 |